はじめに

ここ最近、高級パンブームが起きています。

と共に加熱過ぎて閉店も相次いでいるのも事実、俗にいう「レッドオーシャンの飛び込む企業はまだ増える」と思います。

こんなあえて「レッドオーシャン」に飛び込む理由を考えてみましょう

あたりまえをひっくり返した

今までの食パンは「ミミは固くて中ふっくら」が当たり前で、何十年も売られていました。

ここで、「パンはこんなものだ」と刷り込まれて、中をどれだけふんわりしているかで喜んでいました。

ここで、疑問を持ったのが「乃が美」の社長で、ミミも柔らかく、中ももっと柔らかくしました。

これが、あたりまえをひっくり返して、それを逆手に普通の食パンとの差別化を図ったすごい戦略です。

マーケティングで分析してみよう

ここからは、高級食パンをマーケティングの4Pに照らし合わせて分析していきます。

マーケティングの4Pとは
• Product(商品戦略)
• Price(価格戦略)
• Place(流通戦略)
• Promotion(販促戦略)
これらに分類して各項目ごとに高級食パンをさらに深堀りしていきます。

Price(価格を手が届きやすい範囲に設定させている。)

店舗によって違いがありますが、値段は平均で1,000円前後(2斤分)です。

スーパーで売っている食パン1袋(1斤)は大体150円~200円程度なのでかなり割高、 しかし、1,000円前後というのがミソです。

1000円くらいであれば「手が届かない値段!」というわけではない。

1000円位なら、パン好きなら何とも思わないでしょうし、月に一回食べようかなとか、お土産にピッタリとか買える範囲と思います。 このように、高級食パンは高級感と値段の設定が絶妙にバランスが取れた商品と言えそうです。

Product(購買欲求を刺激して、それ以上の期待を提供する)

多くの人がなぜスーパーのパンよりも価格が高いのにも関わらず、この高級なパンを求めるのか。

その秘密は高級食パンの特徴にあります。 多くの高級食パンに共通しているのは、パンの「やわらかさ」と「甘さ」をウリにしていることです。

もともと、食パンといえば好みはあるにせよ、そこまで大きな商品ごとの違いはありませんでした。

どれを買っても「味は想像どおり」、これこそがパンを日本に定着させた要因であると思います。 これまであまり大きな特徴がなかった「食パン」において、その差別点を明確にしたのが高級食パンです。 例えば「乃が美」ではこれまで食パンにおいてなかった「腰折れ」と呼ばれるギリギリの柔らかさをウリにしています。 この差別化ポイントが、消費者の購買欲求を刺激して、1,000円という価格に対しての期待値を超す価値を提供しているといえるでしょう。

Place(ニーズにこたえる出店)

以前は、食パンは「銀座に志かわ」のように銀座や麻布十番など「ちょっと贅沢する」エリアへの出店が目立っていました。

やはり高級食パンを売るなら「ちょっと贅沢」な地域に需要に応える戦略だったのでしょう。 ただ、近年の高級食パンブームに乗って「乃が美」都市圏に留まらない全国の高級食パンファンのニーズに応えています。

それにのって、他の高級食パンも全国展開しています。

Promotion(SNSやHP、広告で販売促進)

今、高級食パンは全国でそのニーズがあります。
もともと、「売れる」限定された地域への出店が多かった高級食パンが全国に広まりを見せた要因はプロモーションと考えられます。
高級食パンのプロモーションは「食パンを手土産・希少なもの・プチ贅沢」として提案してきたからです。

この付加価値によって、食パンをギフトとして贈る流れを作り出し口コミによって認知を高めることに成功しています。
また、話題になれば行列もできるようになります。

人間の心理として行列を見ればその内容は気になるものです。

なぜか「なんか並んでるからおいしんだな」と「おいしいなら買ってみよう」と行列に加わり、思わず購入してしまうといったこともあるでしょう。
さらに、多くの高級食パンの店舗は高級食パン、それに合うジャムを取り扱います。

これによって*「高級食パンの〇〇はおいしい」といった、専門店ならではの認知を広めていく*のもプロモーションのひとつと言えます。

おわりに

このように、高級食パンは長年したわれてきた食パンに独自の工夫を加え、パン業界でもひとつの立ち位置を築き上げました。

ただのブームを作った、のった、だけではなく、意識されたマーケティングの4Pによって顧客への購入の動機づけや印象付けを行っているのです